日本人選手展望:宇佐美貴史
2018/19シーズンのブンデスリーガが8月24日に開幕した。56年目を迎えた今季のブンデスリーガには総勢7人の日本人プレーヤーが所属。昨季フォルトゥナ・デュッセルドルフの昇格に貢献し、2年ぶりにブンデスリーガでプレーする宇佐美貴史の新シーズンを展望する。
所属クラブ:フォルトゥナ・デュッセルドルフ
生年月日:1992年5月6日(26歳)
身長・体重:178センチ・70キロ
ドイツキャリア:
2011/12 バイエルン・ミュンヘン 3試合・0得点
2012/13 ホッフェンハイム 20試合・2得点
2016/17 アウクスブルク 11試合・0得点
2017/18 デュッセルドルフ(2部) 28試合・8得点
ドイツに挑戦して通算4年目の2017/18シーズンは、宇佐美貴史にとって最も手応えを感じたシーズンとなった。アウクスブルクから期限付き移籍で当時2部のデュッセルドルフに加わると、リーグ戦28試合に出場して8ゴール3アシストを記録。出場試合数、得点数、アシスト数のすべてでドイツキャリアの自己最高成績を残した。
今年1月にはヘルタ・ベルリンから原口元気が期限付きで加入。“日本人ユニット”を結成すると調子はさらに上向き、第23節のグロイター・フュルト戦から4試合連続ゴールも記録した。最終節、ニュルンベルクとの首位決戦では、2点ビハインドの状況から37分に反撃の狼煙を上げるヘディングゴールを記録。この得点で勢いに乗ったデュッセルドルフは3-2の逆転勝利を収め、2部優勝という最高の形で6年ぶりのブンデスリーガ返り咲きを果たした。
ガンバ大阪ユースの“史上最高傑作”と称され、高校2年時にプロ契約を結んだ早熟のアタッカーは、19歳の若さでドイツの絶対王者バイエルン・ミュンヘンに加入。しかし、シンデレラストーリーは長くは続かず、わずか1年でチームを退団することになった。その後はホッフェンハイム、Jリーグ復帰を挟んで加入したアウクスブルクでも目立った成績を残せず……。だからこそドイツでようやく目に見える結果を残せたことは大きかった。
3月には約9カ月ぶりに日本代表復帰を果たし、G大阪時代の恩師でもある西野朗監督の下でワールドカップに出場した。メンバー発表後、宇佐美は「W杯のために移籍したドイツで思うような時期を過ごせなくて…」とこれまでの苦悩を告白したが、「それでも何とか結果を出せて、滑り込めてホッとしています」と胸のうちを語った。結果的に出場時間は68分間にとどまったが、デュッセルドルフでの活躍がなければ夢の舞台に立つことさえできなかったかもしれない。
8月5日、今季もデュッセルドルフでプレーすることが決まり、宇佐美は次のように喜びと決意を語った。「またこのクラブ、この街に戻ってこられてすごくうれしい。今季は自分にとっても、デュッセルドルフにとっても重要なものになります。1年間ともに全力で戦うので、サポートよろしくお願いします」
自身にとっては2シーズンぶりの1部での戦い。対峙する選手たちはより屈強でハイレベルになる。それでもデュッセルドルフで得た手応えと自信があれば、ブンデスリーガの舞台でも結果を出せるはずだ。