日本人選手展望:浅野拓磨
2018/19シーズンのブンデスリーガが8月24日に開幕した。56年目のシーズンを迎えた今季のブンデスリーガには総勢8人の日本人プレーヤーが所属。新天地ハノーファーで新たなスタートを切った浅野拓磨のシーズンを展望する。
所属クラブ:ハノーファー
生年月日:1994年11月10日(23歳)
身長・体重:171センチ・70キロ
ドイツキャリア:
2016/17 シュトゥットガルト(2部) 24試合・4得点
2017/18 シュトゥットガルト 15試合・1得点
浅野拓磨にとっての2018年上半期は、これまでのキャリアで最も苦しい時期だったに違いない。昨季前半戦は在籍2年目を迎えたシュトゥットガルトでコンスタントに出場機会を得ていたものの、後半戦はまさかの公式戦出場ゼロ。1月末に就任したタイフン・コルクト監督の構想外となり、半年もベンチ外での日々を強いられた。
クラブで活躍の場を失ったタイミングがワールドカップ・イヤーと重なったことも不運だった。定着していたはずの日本代表から遠ざかり、結局はロシア大会のメンバー入りも叶わなかった。最終予選で重要なゴールを決めていたことを考えれば、サポートメンバーとしてのチーム帯同は内心受け入れ難いものだったはずだ。
それでも5月末という早い段階で新天地が決まったのは幸いだった。シュトゥットガルトでの期限付き移籍を終えた失意の浅野に手を差し伸べたのはハノーファー。入団会見で口にした「クラブからの信頼」という言葉は本人が何より欲していたものだった。
7月上旬にチームに合流してからはすべてが好転した。下部リーグ相手のテストマッチで早速ゴールを決めると、プレシーズンマッチの7試合で5ゴールと好調をアピール。今季初の公式戦となったカールスルーエとのドイツサッカー連盟カップ(DFB杯)1回戦でもゴールを決めて6-0の大勝に貢献した。
25日に行われたブレーメンとのリーグ開幕戦でも2トップの一角で先発出場し、裏に抜け出す動きや味方のスペースを作るフリーランニングで前線をかき回した。後半には途中出場した原口元気とのコンビネーションからチャンスメークする場面も見られた。
試合後、現在の好調ぶりについて聞かれた浅野は、「うまくやれているというよりも、もっとできるという感覚のほうが強い」と話した。手応えはあるが、まだ満足はしていない。周囲とのコンビネーションを高めれば「もっとできる」という自負がある。
苦しい時期を乗り越え、ようやく本来の笑顔が戻ってきた。ドイツで迎えた3年目のシーズン、今季の浅野拓磨には大いに期待してよさそうだ。