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注目選手クローズアップ:エアリング・ハーランド

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ブンデスリーガ第18節が行われた1月18日、アウクスブルクのファンは悪夢のような現実を目の当たりにした。WWKアレーナにドルトムントを迎えた一戦、アウクスブルクはフロリアン・ニーダーレヒナーのドッペルパックなどで55分までに2点のリードを奪うことに成功する。シーズン後半の初戦で勝利を納めるまで残り時間は35分ほど。だが、その希望はあっさりと打ち砕かれることになった。

ドルトムントの“救世主”となったのは、この冬にオーストリアのザルツブルクからやって来た19歳のストライカー、エアリング・ハーランドだ。56分にウカシュ・ピシュチェクとの交代でピッチに入ると、わずか23分間でハットトリックを達成するという離れ業をやってのけた。59分に得意の左足でブンデスリーガ初ゴールを記録すると、70分、79分にもネットを揺らして逆転勝利に貢献。61分に同点弾を奪ったジェイドン・サンチョ、17歳でトップデビューを飾った新鋭ジョヴァンニ・レイナの存在が霞んでしまうほど圧巻の活躍ぶりだった。

- THOMAS KIENZLE/AFP via Getty Images

ノルウェー国籍のハーランドは、長らくイングランドで活躍したアルフ・インゲ・ハーランドを父に持つサラブレッドで、同胞のレジェンドであるオーレ・グンナー・スールシャールからストライカーのイロハを教わった経歴を持つ。2017年2月から約2年間はスールシャール率いるモルデで技を磨いた。

モルデでメキメキと力を伸ばしたハーランドは2018シーズンのノルウェーリーグで得点ランク3位の12ゴールを記録。翌年に開催されたUー20ワールドカップでは、グループステージのホンジュラス戦で衝撃の1試合9ゴールを挙げ、その名が広く世界に知れ渡ることになる。

その後の活躍からも、決して“一発屋”でないことは明らかだ。ザルツブルク在籍2年目の2019/20シーズンには公式戦22試合で28ゴールと大ブレイク。初参戦となった欧州チャンピオンズリーグでも、初戦での3ゴールを皮切りに計8ゴールを挙げ、対戦したリバプールやナポリの守備陣を戦慄させてみせた。そして、ブンデスリーガでのドリームデビュー……。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いを見せている。

194センチの堂々たる体格を誇りながら、アウクスブルク戦ではいずれも裏への鋭い飛び出しから3ゴール、軽やかな身のこなしとスピードを兼備する。シュートの質と精度も抜群で、点取り屋らしいゴール嗅覚の鋭さも魅力だ。当初はドルトムントに不足していた“前線の高さ”をもたらすタレントとして期待されていたが、ただのターゲットマンではない。

まだタイトルを諦めていないドルトムントにとって、ハーランドは文字どおり逆転優勝の“切り札”になることは間違いないだろう。

文=遠藤孝輔

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