デア・クラシカー展望
ブンデスリーガきっての大一番“デア・クラシカー”が26日に開催される(日本時間27日1時30分キックオフ)。勝利の女神はドルトムントとバイエルンのどちらに微笑むのか。2019/20シーズンの優勝争いを大きく左右しうる頂上対決を展望する。
ブンデスリーガで通算102回目となる今回のデア・クラシカーをホームで迎えるのはドルトムント。アウェーの戦績は9勝10分け32敗と振るわないものの、本拠地ジグナル・イドゥナ・パルクでは16勝19分け15敗と五分以上に渡り合ってきた歴史がある。無観客での開催とはいえ、前節から中2日の大一番をホームで戦えるのはメリットだろう。
チーム状態はすこぶる良好だ。リーグ再開初戦の第26節で宿敵シャルケに1969年以来となる大勝(4-0)を収めると、翌27節はヴォルフスブルクに2-0とアウェーゲームをきっちりモノにした。主将のマルコ・ロイスや中盤の要であるアクセル・ヴィツェルなど複数の主力をケガで欠きながら、攻守の歯車ががっちりと噛み合っている。
なかでも好調なのがラファエル・ゲレイロとアクラフ・ハキミの両ウイングバック。そしてこの二人とシステマティックに絡み、崩しの切り札となっているウインガーのトルガン・アザールとユリアン・ブラントも身体のキレが素晴らしい。ここまでゴールとアシストを二桁の大台に乗せているジェイドン・サンチョが“ジョーカー”に甘んじるほど、戦力は充実一途だ。
そのドルトムントに勝ち点4差で首位に立つバイエルンの状態も、ほとんど非の打ち所がない。再開初戦のウニオン・ベルリン戦で2-0の完勝を飾り、続くフランクフルト戦では5-2と攻撃陣が爆発。あえて重箱の隅をつつけば、2失点をいずれもコーナーキックから喫したことか。デア・クラシカーのような大一番で集中力の欠如は命取りになる。
ただ、失点以上の得点を挙げる力を有しているのが王者の王者たる所以。得点ランキングのトップを快走するロベルト・レヴァンドフスキ、全盛期の輝きを取り戻したトーマス・ミュラーらアタッカー陣はもちろん、攻撃的サイドバックのアルフォンソ・デイヴィスを交えた攻撃は多彩で、なにより選手一人ひとりのプレー精度が素晴らしい。
主導権を握ることが多い両チームのスタイルを考えれば、序盤から探りを入れるような展開にはならないはずで、キックオフ直後からアクセル全開のハイテンポでインテンシティーの高い試合が繰り広げられるのではないか。自力で勝るバイエルンがボールを持つ時間が長くなるかもしれないが、ドルトムントには一撃必殺の高速カウンターという武器がある。たった一つのミスやセットプレーが勝負を分けるかもしれない。
最高の状態にある最高の2チームが激突する文字通りの天王山。ドルトムントはここ3シーズン連続で第28節のデア・クラシカーで大敗している悪しき歴史を断ち切れるか。バイエルンは首位固めに入る絶好のチャンスを活かせるか。瞬きすらできないような白熱の好ゲームに期待だ。
【予想ラインナップ】
ドルトムント(3―4―2―1)
ビュルキ;ピシュチェク、フンメルス、アカンジ;ハキミ、ジャン、ダフート、ゲレイロ;アザール、ブラント;ハーランド
バイエルン(4―2―3―1)
ノイアー;パヴァール、ボアテング、アラバ、デイヴィス;キミッヒ、ゴレツカ;コマン、ミュラー、ニャブリ;レヴァンドフスキ
文=遠藤孝輔