セカンドチームで活躍するチェイス・アンリはブンデスリーガでベンチ入りする機会も増えた。 - © IMAGO/Jerry Andre
セカンドチームで活躍するチェイス・アンリはブンデスリーガでベンチ入りする機会も増えた。 - © IMAGO/Jerry Andre
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シュトゥットガルトで爪を研ぐ若きサムライ、チェイス・アンリ

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高卒でVfBシュトゥットガルトに入団したチェイス・アンリはドイツの地で成長を続けている。

VfBシュトゥットガルトの日本人選手といえば、あなたは誰を最初に思い浮かべるだろうか。ディフェンスラインの一角として昨季の躍進に大きく貢献した伊藤洋輝。キャプテンを務め劇的なゴールで1部残留の立役者となった遠藤航。あるいはクラブで最初の日本人選手であり日本代表のレジェンドとなった岡崎慎司だろうか。

多くの日本人選手たちが功績を残してきたシュトゥットガルトで、今静かに爪を研ぐ若き才能がいる。20歳のチェイス・アンリは欧州3年目となる新シーズン、いよいよトップレベルでその実力を披露することになるかもしれない。

尚志高校を卒業したばかりのチェイスのシュトゥットガルト入団が発表されたのは18歳の誕生日を迎えたばかりの2022年4月のことだった。飛び級でU-21日本代表に招集されていた有望株には国内外から多くのオファーが届いていたが、その中から彼が選んだのは前年に練習参加もしていたシュトゥットガルトだった。 

チェイス・アンリは今季シュトゥットガルトで3年目のシーズンを迎える。 - IMAGO/Pressefoto Rudel/Herbert Rudel

U-23アジアカップに参加した後の7月にレギオナルリーガ(4部)に所属するセカンドチームに合流したチェイスは、バーリンガーSCとの開幕戦に途中出場しデビューを果たすが、その後もベンチスタートが続き9月からは負傷離脱もありシーズン前半のリーグ戦出場時間は計86分にとどまった。

しかしプロの壁にぶつかり苦闘しながらも、若きサムライはしっかりと鍛錬を積み前進していく。ワールドカップの中断期間中に行われたトップチームのアメリカ遠征に招集され、子供時代を過ごしたテキサスへ。セール・ギラシ、コンスタンティノス・マヴロパノスといった主力選手たちと同じピッチに立ち、ケルンとの親善試合に73分から途中出場し非公式ながらトップチームデビューを果たした。するとシーズン後半には3月に初先発を果たし、4月には3試合連続のスタメン出場で連勝に貢献するなど、確実にセカンドチームでの存在感を増していった。

3試合にフル出場したU-20ワールドカップを経て迎えた2年目は、その成長を印象付けるシーズンとなった。セカンドチームで完全にレギュラーの座を掴んで中心選手となり、前年8位だったチームの上位進出に貢献。2月にはトップチームのフライブルク戦に初招集され、その後もセバスティアン・ヘーネス監督のもとで躍進を遂げたチームでベンチ入りの常連となっていった。 

 

2つのチームを掛け持ちする状態の中、セカンドチームではトップレベルで得た経験を還元し、3月のレギオナルリーガ第25節ではコーナーキックに頭で合わせて初ゴールを記録。その2週間後にはセンターバックながら1得点1アシストの活躍で勝ち点3獲得に大きく貢献して見せた。そしてシーズン最終節、ホッフェンハイムのセカンドチームに2-0の完封勝ちを収めたチームは土壇場で1位に浮上し劇的な優勝と3部リーグ昇格を決めた。チェイスはもちろんセンターバックとして、この試合もフル出場している。

シュトゥットガルトでの3年目となる今季はUEFAチャンピオンズリーグにより試合数が増えることもあり、いよいよトップチームデビューが期待されるチェイス・アンリ。ドイツの地で静かに爪を研ぐ大型センターバックには、これまで以上に注目が集まりそうだ。