W杯を盛り上げた日の丸戦士たち(1)
ワールドカップ・カタール大会が11月20日に開幕した。ドイツ、スペインといった優勝経験国が同居するE組に入った我らが日本代表は、見事なまでに下馬評を覆し、首位でグループリーグを突破。またしても決勝トーナメント1回戦で涙を飲む結果となったが、彼らの戦いぶりは世界のサッカーファンに強烈な印象を与えた。
【吉田麻也(シャルケ)】
長谷部誠からキャプテンマークを引き継いだこの4年間、常に重圧と戦い続けた。チームを牽引する主将として全4試合にフル出場し、パス本数(226本)と走行距離(41.06km)は今大会における日本代表の選手で最多。クロアチアに敗れた直後は人目をはばからず涙したが、帰国後の会見では「結果が出てないのにこういうことを言うのもどうなのかなと思いますけど、(大会前の準備期間を含めると)今までで一番短いワールドカップだったんですけど、一番楽しかったです」と語った。
【遠藤航(シュツットガルト)】
2季連続でブンデスリーガのデュエル王に輝いた実績は、ワールドカップという大舞台でも証明された。初戦のドイツ戦から守備での存在感は顕著。攻撃でも最終ラインと前線のつなぎ役を務め、グループ第2戦コスタリカ戦、決勝トーナメント1回戦クロアチア戦でも彼が持つ能力はいかんなく発揮された。現在29歳で、サッカー選手としてまさに脂が乗りきろうとする時期であり、所属するシュツットガルトと同じく日本代表でも、次期キャプテン候補としてその名が挙がっても不思議ではない。
【板倉滉(ボルシアMG)】
9月に左膝内側靭帯を部分断裂し、ワールドカップ出場も危ぶまれていたが、驚異的な回復力で初戦のスターティングイレブンに名を連ねた。さらにそのドイツ戦では正確なロングフィードを前線に入れ、浅野の逆転ゴールをアシスト。グループリーグ全試合でフル出場した最終ラインの要はスペイン戦でイエローカードをもらってしまい、累積警告によりクロアチア戦をスタンドから観戦。「僕たちならベスト16っていう壁を破れると思っていたので、それを達成できなったことが悔しい」と無念さをにじませた。
【伊藤洋輝(シュツットガルト)】
今大会での出場機会はコスタリカ戦の後半のみとなり、目立った活躍はできなかったが、そもそも今年6月に日本代表デビューを飾ったばかりの新鋭である。昨季シュツットガルトで加入1年目ながら主力に定着し、まだまだ今後も大きな成長が見込まれる。カタールで受けた刺激を胸に、さらに飛躍してくれることを期待したい。