ヤングスターFILE:カイ・ハヴァーツ(レーバークーゼン)
ブンデスリーガの有望な若手選手を紹介する「ヤングスターFILE」。第15回はレーバークーゼンで様々な最年少記録を更新してきたカイ・ハヴァーツに注目!
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ブンデスリーガ前半戦を終えて9位に甘んじていたレーバークーゼンが、後半戦になって完全に息を吹き返した。残り2節を残して4位アイントラハト・フランクフルトと同勝ち点(54)の5位。後半戦はバイエルン・ミュンヘン、ライプツィヒに次ぐ3位の好成績を残しているだけでなく、15試合で総得点37と攻撃の歯車ががっちりと噛み合っている。
その攻撃の中心にいるのが19歳の攻撃的MFカイ・ハヴァーツだ。トップ下、あるいは右ウイングとしてピッチに立ち、ここまでチーム最多の15ゴールをマーク。かつて自身が課題として挙げていたシュート精度不足を克服し、チャンスメーカーとしてもフィニッシャーとしても機能するリーグ屈指のアタッカーへと変貌を遂げた。
レーバークーゼンに攻撃マインドを植えつけ、後半戦の躍進を演出しているペーター・ボス監督は、「スペシャルなプレーヤー」とハヴァーツへの賛辞を惜しまない。巷では「若手の中でヨーロッパ最高のMF」という評価もあり、少なくともブンデスリーガ最高のヤングプレーヤーの一人としてカウントできるのは間違いない。
今年6月に20歳になるハヴァーツが今日までに築き上げたキャリアは、同世代のドイツ人選手とは比較にならない。2016/17シーズンにクラブ史上最年少の17歳126日でブンデスリーガデビューを果たし、カリム・ベララビのリーグ通算5万ゴール目をアシスト。17歳で欧州チャンピオンズリーグ(CL)デビューを飾り、クラブの最年少ゴール記録を更新するなど確かな足跡を残してきた。
デビュー2年目の昨季は9アシストと躍動し、今季第29節のシュトゥットガルト戦では早くも公式戦通算100試合出場を達成。19歳306日での大台到達は、元西ドイツ代表のホルスト・ケッペルに次ぐ史上2番目の若さだった。
そのプレースタイルは、ハヴァーツ自身がロールモデルとするメスト・エジルに似通っている。ゲームを読む力や視野の広さを備え、左足の繊細なボールタッチとパスでビッグチャンスを作り出す。狭いスペースでも乱れないボールコントロール、時折見せるヒールパスなどプレーのアイデア満載だ。
元ドイツ代表のローター・マテウスが「チームのためにプレーしている」と語るように、決して独りよがりにならずハードワークできるのも強みだろう。勤勉な姿勢はピッチ外でも同様で、プロ1年目には多忙を極めるなかでアビトゥーア(大学へ進学するために必要な資格)を取得。まさに「文武両道」が似合う選手だ。
レーバークーゼンが逆転でCL出場権を得るとすれば、その中心には進化をやめないハヴァーツの姿があるはずだ。
文=遠藤孝輔
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