ヤングスターFILE:イブラヒマ・コナテ(ライプツィヒ)
ブンデスリーガの有望な若手選手を紹介する「ヤングスターFILE」。今季ラストはライプツィヒで台頭した19歳のセンターバック、イブラヒマ・コナテに注目!
ライプツィヒのイブラヒマ・コナテは、2018/19シーズンのブンデスリーガで最も成長したヤングスターの一人だろう。ドルトムントのジェイドン・サンチョやレーバークーゼンのカイ・ハフェルツ、アイントラハト・フランクフルトのルカ・ヨヴィッチらアタッカーばかりが脚光を浴びがちだが、19歳のセンターバックも彼らに劣らない鮮烈な輝きを放っている。
パリ生まれのコナテは17歳のときに母国フランスのソショーでプロデビューを飾り、半年後の2017年夏にライプツィヒに加入。ドイツ語の習得やブンデスリーガ特有の激しさに苦労しつつも、主将のウィリー・オルバン、ダヨ・ウパメカノに次ぐ3番手のセンターバックという立場をつかみ取り、18歳にしてブンデスリーガ16試合に出場した。
その昨季が“試用期間”だったとすれば、今季は文字どおり“出世の年”になった。第33節終了時点で28試合に出場し、ウパメカノが負傷離脱した1月以降は不可欠な存在として君臨。リーグ最少失点(27)を誇るチームの後方をがっちりと固めている。
192センチ・93キロと体格に恵まれ、多少不利な態勢でもボディコンタクトで相手をねじ伏せる。ストライドの大きなダッシュでスピード勝負でも相手に後れを取らない。インターセプト能力が高く、くさびのパスを受けた相手の背後から長い脚をスッと伸ばしてボールを奪う。上背を生かした空中戦の強さも圧巻だ。
そうした特徴がよく表れたのが第33節のバイエルン・ミュンヘン戦だった。コナテは何度となく訪れたロベルト・レヴァンドフスキとのマッチアップでことごとく勝利。バイエルンのエースが19歳の若者との正当な接触プレーでいとも簡単に倒れ、苛立ってファウルを主張する姿は、世界中のファンを驚かせた。
本人は「もっとパスの精度や左足の技術を良くしないと」とあくまで謙虚だが、ビルドアップでの貢献度も見逃せない。グラウンダー性の鋭い縦パス、ピッチを斜めに切り裂くロングフィードで攻撃のスイッチを入れつつ、時に相手の意表を突くドリブルで変化をつける。第19節のフォルトゥナ・デュッセルドルフ戦では体を寄せてきた相手をモノともしない豪快な突破から、左足のシュートでうれしいブンデスリーガ初ゴールをマークした。
ほんの1年前まで控え要員に過ぎなかった若者が、今やリーグ屈指のセンターバックと称賛される。規格外のポテンシャルを開花させた19歳はブンデスリーガのみならず、いずれヨーロッパを代表するスターへとのし上がるかもしれない。
文=遠藤孝輔
【ヤングスターFILE】
Vol.1:ドディ・ルケバキオ(デュッセルドルフ)
Vol.2:ルカ・ヨヴィッチ(フランクフルト)
Vol.3:フローリアン・ノイハウス(ボルシアMG)
Vol.4:ダヨ・ウパメカノ(ライプツィヒ)
Vol.5:ジャンフィリップ・ジュバマン(マインツ)
Vol.6:マクシミリアン・エゲシュタイン(ブレーメン)
Vol.7:アレクサンダー・ニューベル(シャルケ)
Vol.8:ジョエリントン(ホッフェンハイム)
Vol.9:アルフォンソ・デイビス(バイエルン)
Vol.10:タイラー・アダムズ(ライプツィヒ)
Vol.11:ユリアン・ブラント(レーバークーゼン)
Vol.12:ニクラス・ズューレ(バイエルン)
Vol.13:ジャンフィリップ・マテタ(マインツ)
Vol.14:マルコ・リヒター(アウクスブルク)
Vol.15:カイ・ハフェルツ(レーバークーゼン)