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最強のニューカマー:マルクス・テュラム

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主将ラース・シュティンドルの卓越したシュート技術や、“マエストロ”ことラファエウの崇高なボールタッチ、あるいはトルガン・アザールの小気味良いドリブルに魅了されてきたボルシアMGのファンは今、一人の若者に心を奪われている。ボルシア・パークの観衆の視線を釘付けにしているのは、今季開幕前にフランスのギャンガンからやって来たマルクス・テュラムだ。

抜群の身体能力を誇るテュラムの規格外のプレーには、目の肥えたファンも唸らずにはいられない。ブンデスリーガ第13節フライブルク戦での1シーンを紹介しよう。4ー3ー3システムの左ウイングで先発したテュラムに後方からロングボールが届く。並の選手ならヘディングで処理するはずのボールだ。しかし、22歳の“フィジカルモンスター”はこれを胸トラップでキープすると、間髪入れずヒールパスを味方に通した。スタンドの老婦人は、ぽっかりと空いた口を両手で塞がずにはいられなかった。

そのフライブルク戦ではトップスピード時速35.6キロを記録した。これはバイエルン・ミュンヘンのキングスレイ・コマンやマインツのジェレミア・シン・ジュステと並んでリーグ最高レベルだ。非凡な脚力と跳躍力を備え、ボールを扱う技術や戦術センスにも優れている。ドリブルはトップスピードでもタッチが乱れず、縦への突破もカットインも可能だ。しかも、左右どちらのサイドでも持ち味を発揮できる。ゴールライン付近までえぐって、中央に折り返しのパスを送るプレーが十八番だ。

直近のフライブルク戦でも開始3分に先制点をマーク - Jan Huebner/Jansen via www.imago-images.de/imago images/Jan Huebner

ここぞという場面での高い得点力も魅力の一つだ。ブンデスリーガではチーム最多、リーグ5位タイの6ゴールを挙げている。鋭い嗅覚を生かしたワンタッチゴールが目立つが、ドリブルからの力強いシュートも守備者の脅威になっている。また、ローマと対戦した欧州リーグのグループステージ第4節では、95分に値千金の決勝ゴールを奪った。その大一番を制した後、チームメートのMFデニス・ザカリアは殊勲のテュラムをこう激賞している。「ちょっぴりクレイジーだけど、マルクスは素晴らしい男さ。あいつがピッチ上でもたらすものは驚異的だよ」

ブンデスリーガ参戦1年目ながら、チームメートもファンも魅了し、ボルシアMGの首位躍進の原動力になっている。1998年のワールドカップ王者リリアン・テュラムを父に持つサラブレッドは、“フォーレン・エルフ”(仔馬のイレブン。クラブの愛称)の一員としてドイツで素晴らしい第一歩を歩み出した。

文=遠藤孝輔

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